ふぁぼって紅

偏見によるバストークと軽い読み物

ショートストーリー

努力義務違反 [1-1]「世界線は噛み合わない」

—— 努力義務違反 【 1 】「世界線は噛み合わない」 —— 口をそろえて、人は努力しろと言う。当然、何ら尽力せずに多くを望むことは強欲であると認識している上で世間体がさほど甘くないことくらいは十に承知しているつもりだが、だからといって自分の感情をな…

努力義務違反

—— 努力義務違反 -Duty of effort- —— 青春時代を棒に振り、いまだかつて訪れたことのない青春という甘い蜜の味に愁いを抱く青年は、いつしかこの現実世界にあって無いような端くれ、まるで陸の孤島の半創造世界に己の居場所を切り拓いていき身を置くように…

今だけは前を向いて。(序)

――暗闇に浮かび上がる校舎の灯りを、僕はぼんやりと眺めていた。冬の訪れを予感させる冷たい風が頬をくすぐり、静かに吹き抜けていく。季節柄、陽が落ちるのが早いとはいえ完全に暗くなるまで学校に居残っていることは、委員会やら部活動やら、なにかそうい…